白川華怜たちは大勢で出かけ、島田凜は喫茶店へ、白川華怜は畑野景明たちと一緒に山田家の裏庭へ向かった。トラックはすでに裏庭の入り口に停まっていた。
学生たちは数分で植木鉢の運び出しを終えた。
山田のお母さんは二皿のスイカを庭の小さなテーブルに置き、みんなに果物を勧めた。「今日はみんなでここで夕食を食べましょう。春姫ちゃんは二日後に番組収録があるから、その日は来られないでしょうから」
彼女はエプロンを身につけた。
「いいですよ」白川華怜はスイカを一切れ取り、スマートフォンを取り出して安藤宗次にメッセージを送った。「おじいちゃんに連絡しておきます」
白川華怜がメッセージを送っている時、庭の門をノックする音が聞こえた。
白鳥春姫は髪を耳にかけて門を開けに行った。
白鳥春姫を見るなり、黄原は急いで話し始めた。「春姫さん、電源入れてませんでしたか?順子さんが連絡が取れないって言って、様子を見に来てって」
「午後はお墓参りに行ってて、携帯を持っていかなかったの」白鳥春姫は休暇中で、順子さんも最近の予定は入れていないと言っていた。彼女は携帯を取りに戻りながら尋ねた。「順子さんは何の用事?」
水田くんが話そうとした時、裏庭で陽城第一高校の制服を着た生徒たちが一列に座り、それぞれスイカを手に持って食べながら好奇心いっぱいに彼らを見ているのに気がついた。
白川華怜は座っておらず、木陰に立っていた。青と白の制服の上着は適当に開いていて、片手にスイカ、もう片手にスマートフォンを持ち、メッセージを送っていた。
彼らが話している時、白川華怜はちょうどメッセージを送り終え、顔を上げて水田くんと黄原の二人を見た。白い顔を少し上げ、とてもだらしない様子だった。
夕陽が彼女の両側の髪に金色の光を染めていた。
緊急事態のはずなのに、白川華怜を見ると水田くんの心は落ち着いた。
「二人とも休んでいって」白川華怜はスマートフォンをポケットに戻し、言い終わるとスイカを一口かじった。
傍らで、山田のお母さんは水田くんと黄原にもスイカを渡した。
黄原はスイカを持っていたが、食べる気分ではなかった。
家の中で、白鳥春姫は携帯を手に取るとすぐに多くの不在着信に気付いた。順子さんからのものや、タイムエンターテインメントの社長からのものもあった……