今や二曲の後で作詞作曲の名声は既に上がり、「白川博」と「藤野」は業界での新進気鋭の天才として知られていた。
藤野院長が表に出るか出ないかはもう関係なく、少なくとも新曲に「藤野院長」のタグが付けられることはない。
藤野院長:【気にしない】
木村浩もそれを察していた。彼は指先で無造作に机を叩きながら、藤野院長の方に問題がなければ、物事は上手く進むと考えた。
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翌日、火曜日。
白鳥春姫の話題性は依然として高止まりしていた。
白川華怜が午後の授業中に順子さんからLINEを受け取った。順子さんは昨夜車を運転して陽城市に来ていた。
午後の授業が終わって。
山田家。
山田のお母さんは白鳥春姫たちが話し合いがあることを知っていたので、前の花屋で店番をし、裏庭と大広間を白鳥春姫たちに任せた。
順子さんは昨夜車で陽城市に来て、午前中に到着後ホテルで休んでから、今山田家に来たところだった。
「順子さん、春姫さんは釈明のツイートを出すことに同意しないんです」黄原は昨夜世論を見ていて、一睡もできなかった。彼は順子さんにお茶を注ぎながら言った。「ネット上で人々が春姫さんのことをどう言っているか、ご存知ないでしょう」
白鳥春姫はアシスタントに対してとても優しく、威張らず気取らない性格で、黄原はこの上司のことが大好きだった。
「分かってるわ」順子さんは湯飲みを持ちながら、白鳥春姫を見て言った。「明智陽明の方があなたを断ったの?」
「ええ」白鳥春姫はこれに驚きはしなかった。
「以前の友人に当たってみるわ」順子さんは携帯を取り出し、業界の知り合いに電話をかけ、急遽の代役を探した。
相手は最近話題の的になっている白鳥春姫の名前を聞くと、遠回しに断った。「最終的に陽城市での収録に決まったんですか?少し遠すぎませんか?私たちは最近西町で撮影中で……」
電話を切ると、順子さんも少し困った様子だった。
そのとき、裏口が開く音がして、順子さんは音を聞くとすぐに立ち上がった。
入ってきたのは白川華怜で、片手に黒いバッグを持ち、もう片方の手に脱いだ制服を持って、肘でドアを閉めながら部屋の中へ入ってきた。
「白川さん」順子さんは自分の席を白川華怜に譲り、とても申し訳なさそうな口調で言った。「私のせいで、あなたと藤野院長に迷惑をかけてしまって」