順子さんも見たことがなく、ミネラルウォーターを持って横に立っているだけだった。
白鳥春姫のマネージャーは首を振った。
白鳥春姫たちが車から降りるのを見て、中年の女性が二歩前に進み、白鳥春姫と梅田行長と握手をした。「白鳥さん、梅田さん、陽城市へようこそ。今日のスケジュールは既に手配させていただきました。」
「この方は...」梅田行長は白鳥春姫を見た。彼女を知らないので、白鳥春姫の紹介を待っていた。
白鳥春姫も知らなかった。木村浩は何も言っていなかった。
「小山華と申します」女性は豪快な笑顔で、適度な距離感を保ちながら、テキパキとした様子で言った。「先月陽城文化観光局に異動してきたばかりです。皆様の番組が当地にいらっしゃることを大変嬉しく思います。」
そう言いながら、彼女は後ろの人たちに番組スタッフへ陽城市のオリジナルグッズを渡すよう指示した。
ディレクターは少し驚いた。まさか文化観光局の公式の人なのか?
小山華はカメラの前に長く留まらず、スタッフに白鳥春姫と梅田行長を観光に案内させ、自らディレクターに挨拶に行った。「お聞きしたところ、このバラエティ番組はネット配信番組なのですか?」
彼女の威圧感に、ディレクターは思わず答えた。「はい、地上波は少し難しくて。」
彼らはネット配信番組で、地上波の方が視聴率は高くなるだろう。というのも、お年寄りの中にはネット配信を見ない人もいるからだ。
「そうですか?」小山華は携帯を取り出した。「連絡先を交換させていただけますか。後ほど瀬谷局長に連絡を取ってみます。お昼は私がご馳走させていただきます。陽城市に来ていただいた以上、地元の者としてのおもてなしをさせていただきたいと思います。」
小山華はスタッフに観光案内をさせた後、慌ただしく去っていった。
彼女が去った後、ディレクターは順子さんと梅田行長のマネージャーと顔を見合わせた。「瀬谷局長?私の知っている瀬谷局長は一人しかいないんですが...」
ディレクターは最初順子さんに聞こうと思ったが、順子さんも困惑した表情だったので、オリジナルTシャツを着た若者たちに小山さんについて尋ねた。
「小山局長のことですか?」男性は頭を掻きながら言った。「彼女は私たちの文化観光局の局長です。先月江渡から異動してきたばかりで、以前は江渡文化観光局の職員だったんです...」