キッチンには田中局長の他に安藤宗次と刺繍職人がいた。
この三人は学生たちを手伝わせなかった。
外では畑野景明が買ってきた果物を洗って切り、皿に盛って持ってきた。
二人の刺繍職人が端で刺繍をしており、宮山小町は魚を撮り終わると、彼女たちを撮影し始めた。傍らでは木村翼がハイスツールに座り、大きな目を見開いて見つめていた。
明石真治は腕を組んで木村翼の横に立ち、時々白川華怜と木村浩に呼ばれると返事をしていた。
空沢康利は森園雄と五目並べをしていたが、とうとう我慢できずに相手に尋ねた。「俺ってかっこいいと思わない?」
森園雄:「……あ?」
オーケー、空沢康利は理解した。
畑野景明は果物を洗い終わり、することがないのを確認すると、スマートフォンを手に取り、木村浩に問題について尋ねた。
白川華怜は手元の時計を見た。五時四十分。彼女は顔を上げて木村浩に言った:「白鳥春姫を案内してきます。」
「いいよ。」木村浩は頷き、指先で畑野景明のスマートフォンを指しながら、畑野景明をちらりと見た。
畑野景明は完全に黙り込んでしまった。
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清水通りの入り口。
番組スタッフの車が二台停まっており、ディレクターが後ろの車から降りてきた。カメラマンも機材を担いで付いていき、通行人は撮影機材を見て、思わず何度も目を向けていた。
「本当にここを通るの?」ディレクターは躊躇いながら白鳥春姫を見た。
ここは全て古い建物で、道も青石の舗装で、脇には古びた店が並び、人は多いものの、格闘場があるようには見えなかった。
格闘場が古い工場だというの?
しかし、番組スタッフは午前中の小山華の出現に既に驚かされており、午前中に貴重な映像を多く撮影できたため、夜の白鳥春姫と梅田行長の旅に対する期待は普通程度だった。
しかし、この荒涼とした様子を目にして、やはり疑問を抱かずにはいられなかった。
白鳥春姫は白川華怜からの返信を確認し、スマートフォンを手に彼らを案内しながら言った。「はい、彼女は小売店で私たちを待っています。」
一行は半信半疑で前に進み、数台のカメラは既にレンズを向けて道中の撮影を始めていた。
白鳥春姫はこの辺りをよく知らないので、梅田行長とささいな話をしていた。
二人は演技について話し合っていた。