松本章文は柳井佳穂とメッセージをやり取りしながら、ついでにウェイボーを見ていた。
柳井佳穂:【[リンク]】
柳井佳穂:【この大物のウェイボー】
彼はリンクをクリックすると、「拾」という一文字のウェイボーを見つけた。フォローしているのは抖音プラットフォームだけだったが、フォロワーはすでに201万人もいて、全てアクティブなファンだった。
これが作詞作曲家のウェイボー?
松本章文がフォローをクリックした時、渡辺颯の声が聞こえ、顔を上げると、白川華怜が青いチケットを制服のポケットにしまうのが見えた。
「なんか君のチケットに似てるね」松本章文は一瞬止まって、格闘場のチケットにそっくりだと思ったが、「彼女、たくさん持ってるみたいだけど?」
このチケットは渡辺颯がチャールズを通じて手に入れたものだった。
田中家も手に入れることができたらしく、田中家には格闘場に先輩がいるという噂だったが、渡辺颯も松本章文も彼らとは親しくなかった。
それでも渡辺颯は3枚しか手に入れられなかった。
白川華怜のは、見たところかなりの枚数があった……
まさかね?
それに、白川華怜のあの様子じゃ、格闘場みたいな血なまぐさい場所に行きそうにないし。
視線を感じたのか、タバコを吸っていた金髪が顔を上げ、松本章文と渡辺颯に笑いかけた。彼はドクロプリントの黒いTシャツを着て、首には銀のチェーンを下げていて、とても元気そうな感じだった。
松本章文は「……違うだろう」と言った。
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翌日、金曜日。
白川華怜は整理した資料を山田文雄に送った。
山田文雄は「ありがとう」というメッセージを送ってきた。
長い通路を通って、研究所のオフィスへ。
青い放射線防護服を着た山田文雄は全メンバーの前に立ち、うつむいて木村浩の話を聞いていた。
地下実験室は元々寒く、蛍光灯も冷たい白色で、周りは全てハイテク機器だった。木村浩は椅子に座り、目の前のパソコンには論文のページが表示されていた。
彼は片手を肘掛けに置き、もう片手でパソコンの画面を指さしながら、高い鼻梁にかけた眼鏡越しに、唇を固く結んでいた。
冷たい白い指先が一つの例示の上で止まり、少し首を傾げて、「斥力と引力の曲率は逆で、一方は空間を収縮させ、もう一方は空間を膨張させる。この例を正エネルギーと負エネルギーに使うつもりか?」