白川華怜は彼に自分の名前を教えたが、彼は変えずに「おっさん」と呼び続けた。
後に白川華怜は言い争うのが面倒になり、好きに呼ばせることにした。
白川華怜は片手でキーボードを押さえながら、今では上手にタイプできるようになったが、依然として返信は簡潔だった——
【1】
山田文雄:【休みが取れて、お正月には高額な手当も出たんだ。時間があったら会えないかな?ご飯でも】
山田文雄:【それと最近の論文も】
研究界ではこれくらいの大きな出来事しかなく、山田文雄は同じグループのメンバーにも話したが、同じ波長の人にしか伝わらないこともある。当初木村浩が山田文雄に白川華怜を紹介したのも、二人が数学において類まれな才能を持っていると感じたからだった。
白川華怜:【1】
彼女は山田文雄に返信を送り、再び読書アプリに切り替えた。