格闘が終わり、周りの人々が一斉に立ち上がって拍手を送った。
松本章文も立ち上がって拍手を送りながら、向かい側に二台のカメラを見つけた。ここでカメラを持ち込む勇気のある人がいるのか?
彼は目を細めて、もう一度見直した。
そこで、ここにいるはずのない人物を見つけた。
白鳥春姫?
なぜ彼女がここにいるんだ?
松本章文は受け入れがたかった。しかもカメラまで持っている?ここは娯楽施設なのか?
渡辺颯は松本章文の様子の変化に気づき、彼の視線の先を追って「どうしたんだ?」と尋ねた。
「白鳥春姫を見かけたような気がする」松本章文は芸能界の人間とこの場所を結びつけることができず、考え込みながら「まさかな、ここに来るのはともかく、なぜカメラマンまで連れているんだ……」
格闘場の人たちはそんなに話が通じるのか?