194 安藤家の勲章、白川さんの段位

安藤宗次が向かったのは南霊山だった。

南霊山は公営墓地ではなく、陽城市の開発予定の観光スポットで、近くには数カ所の著名人の墓地がある。

南霊は陽城市の最南端に位置し、連なる山々があり、道路の整備は十分ではない。半分は拡張工事中で観光ルートを整備する予定で、南霊公園はまだ開園していない。

明石真治が車をゆっくりと南霊山の端まで運転し、安藤宗次はある場所で止めるよう指示した。

白川華怜は供物を持って安藤宗次の後ろについて車を降り、観光スポットは夏休みまで開園しないが、入口では4つの道を示す道標が見え、それぞれ「南霊公園」「南霊山」「鷹山の墓」「紅葉ホテル」を指していた。

道標は新しく、最近設置されたばかりのようだった。

明石真治は運転席に座ったまま、白川華怜と安藤宗次がある道を進んでいくのを見上げながら、思わず携帯を取り出した。

明石真治:【今日は清明節なのに、白川さんは観光スポットに何しに?】

明石真治:【鷹山の墓か將軍の墓参りかな?】

渡辺颯:【後で墓参り来てね】

渡辺颯は烈士陵園にいた。

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南霊山。

安藤宗次は白川華怜を観光スポットには連れて行かず、どんどん人気のない方へ進んでいった。山道は歩きにくかったが、白川華怜は平地を歩くかのように進み、安藤宗次も呼吸は安定していた。約15分歩いた。

白川華怜はついに3つの墓石を見つけた。安藤宗次は最後の墓石の前で立ち止まった。この墓石だけが本当の墓で、他の2つは衣冠塚だった。

この一帯の墓地はとてもきれいで、雑草一本生えていなかった。きっと誰かが定期的に掃除しているのだろう。

「華怜を連れてきたよ」安藤宗次はしゃがみ込んで、墓石の上のほとんど見えないほどの埃を指でぬぐった。「君は彼女に会ったことがないだろう」

そう言いながら、彼は白川華怜の方を見た。深いしわの刻まれた眉目は白川華怜が見たことのないほど優しかった。「彼女に会わせてあげよう」

白川華怜は一歩前に進み、墓石に刻まれた文字を見た——

安藤真知子之墓

真知子、安藤真知子、これは彼女の祖母なのだろうか?

白川華怜は手に持っていた菊の花を置き、恭しく拝礼した。なんて優美な名前だろう。

安藤宗次は多くを語らなかった。