194 安藤家の勲章、白川さんの段位_2

畑野美和だけが向日葵だった。

畑野景明は首にかけた翡翠の瓢箪に手を触れた。

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午後。

白川華怜は机に向かって座り、陽光が窓から斜めに差し込んでいた。

右側には本が積み重ねられ、その横の硯の下には白い紙が一枚挟まれており、そこには幾つかの減字譜が書かれていた。

部屋の扉は開いていて、安藤宗次が中庭から入ってきた。彼は黒ずんだ古い木箱を抱えていた。

木箱には小さな錠前がかけられていた。

「開けて見てごらん」安藤宗次は彼女が宿題をしていないのを確認してから、木箱を彼女の前に置き、小さな鍵を白川華怜に渡した。「この中にはお前の祖母の写真が全部入っているんだ」

白川華怜は鍵を受け取り、頭を下げて鍵穴に差し込んだ。

安藤宗次は傍らに立って彼女の手にある小さな木箱を見下ろした。