畑野美和だけが向日葵だった。
畑野景明は首にかけた翡翠の瓢箪に手を触れた。
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午後。
白川華怜は机に向かって座り、陽光が窓から斜めに差し込んでいた。
右側には本が積み重ねられ、その横の硯の下には白い紙が一枚挟まれており、そこには幾つかの減字譜が書かれていた。
部屋の扉は開いていて、安藤宗次が中庭から入ってきた。彼は黒ずんだ古い木箱を抱えていた。
木箱には小さな錠前がかけられていた。
「開けて見てごらん」安藤宗次は彼女が宿題をしていないのを確認してから、木箱を彼女の前に置き、小さな鍵を白川華怜に渡した。「この中にはお前の祖母の写真が全部入っているんだ」
白川華怜は鍵を受け取り、頭を下げて鍵穴に差し込んだ。
安藤宗次は傍らに立って彼女の手にある小さな木箱を見下ろした。
目に飛び込んできたのは一枚の古い写真で、白黒写真には旗袍を着た女性が写っており、端正で優雅で、眉目の間には東洋的な気品が漂っていた。
その一枚の他にも、下には多くの写真があった。
ほぼ全ての写真が旗袍姿で、数枚の薄い紙片は雑誌や新聞から切り取られたもののようだった。
誰かが大切に保管していたのだろう。
安藤宗次の身にはタバコの匂いが少しついており、彼は写真に目を落としたが、濁った瞳からは何の感情も読み取れなかった。
白川華怜はそれらの古い写真を静かにめくっていき、新聞から切り取られたものは端を摘んで、非常に慎重に扱った。
古い写真をめくり終えると、白川華怜は下の層に二つの小さな勲章があるのを見つけた。
勲章はかなり年季が入っているように見え、中央にアルファベットが一文字、その両側に小さな葉が描かれていた。
彼女はこのような勲章を見たことがなかった。
「これは見るだけにしておきなさい。外に持ち出してはいけない」安藤宗次は彼女が勲章を手に取るのを見て軽く言い、それから視線を戻し、白川華怜の窓越しに中庭の刺繍台を見ながら、突然言った。「お前の叔父さんもお母さんも、みんな学問に興味がないとは思わなかったが、お前だけは違うな。望月家に戻る気はないか?」
望月家?
白川華怜は顔を上げた。初めて聞く話だった。「望月家?」