物事には良い面もあれば悪い面もあり、問題も生じてきた。ネットユーザーは形意道場の権威性を疑っていた。
明石真治はこの動画を見つめ、眉をひそめた。
「なぜずっとこの動画を繰り返し見ているの?」渡辺颯は明石真治の方を見た。
「この道場に投資したんだ」明石真治はコメント欄に文字を打ち、形意道場の館長は経験豊富な先生で、ただ以前は段位を取得していなかっただけだと真剣に説明した。
投稿するやいなや、荒らしの集団が彼を攻撃し始めた。
渡辺颯は足を組んで座り、何度も聞いていたこの種のビジネス戦争は彼にとって大したことではなかった。「簡単だよ。有名な達人を道場の指導者として迎えればいい」
傍らで、松本章文も説明した。「明石さん、北実さんに聞いてみたら?田中家には東区武術クラブの人がいるでしょう?武術のレベルは高いはずです。それとも、あなたの師匠に来てもらうとか」
明石真治は彼を一瞥したが、何も言わなかった。二人の言うことは確かに簡単そうに聞こえた。
松本章文が言及したのは吉田瑞希のことだが、明石真治は眉をひそめ、彼女に頼むつもりはなかった。
彼の師匠については……
明石真治にはさらに手の打ちようがなかった。今や師匠は彼を相手にしていない。
しかし……
明石真治は前を見た。
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しばらくして、白川華怜が上階から降りてきた。
木村浩は今日いないし、木村翼も帰っていなかったので、白川華怜は長居するつもりはなかった。
「華怜ちゃん」渡辺颯はテーブルの上のティーポットを指さして笑った。「明石くんが特別にお茶を入れたんだよ。一杯飲んでいかない?」
白川華怜は足を止めた。彼女は亜麻色のトップスに黒いパンツを着ていた。太陽が沈もうとしており、金色の光が彼女の髪先と服に当たっているのが見えた。
彼女は東屋を見て、少し考えてからこちらに向かって歩き始めた。
明石真治は急いで彼女にお茶を注いだ。
白川華怜は彼の隣に座り、手には印刷したばかりの文献の束を持っていた。紙はまだ少し温かかった。
彼女は手首をテーブルに何気なく置き、もう一方の手で明石真治が差し出したお茶を受け取った。
松本章文は白川華怜が持っている紙の束を見た。かなり厚かったが、何なのかはわからず、紙を通して線と数字が少し見えるだけだった。「これは何?」