番組スタッフは互いに顔を見合わせた。
ディレクターは心臓が早鐘のように打ち、白鳥春姫の電話番号を開いた。
チケットは白川華怜からもらい、人も白川華怜が手配したもので、ディレクターはこの件の重要なポイントが白川華怜にあることを知っていた。
白鳥春姫はすぐに電話に出て、少し意外そうに「ディレクターさん?」と言った。
「実はね、春姫さん」瀬谷局長からの電話なので、ディレクターは隠すことができず、「瀬谷局長から先ほど電話がありまして。」
彼は簡潔に事の経緯を説明した。
白鳥春姫は電話を切り、少し考え込んだ。瀬谷局長と小山華は親戚で、小山華は木村浩から紹介されたのだった。彼女は白川華怜には言わず、この情報を木村浩に送信した。
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月曜日、放課後。
白川華怜は退屈そうに他の生徒たちと一緒に外へ向かっていた。彼女は耳にイヤホンを差し込み、黒いカバンを手に持っていた。
英語を聴いていた。
携帯が何度か鳴った。
木村浩と木村翼からだった。
木村先生:【[画像]】
木村先生:【着陸したよ】
木村琴理:【、】
木村琴理:【、】
木村琴理:【、】
飛行機の中で何があったのか、木村翼は着陸するなり白川華怜のチャットを連打し始めた。白川華怜は二人の前後のメッセージを見て、思わず笑みがこぼれた。
ゆっくりと木村翼に句点を返信し、木村浩が送ってきた画像を開いた。
江渡は雨が降っていた。
陽城市はめったに雨が降らない。白川華怜は晴れ渡った空の写真を撮って送り返した。この時間、学校の門前は人通りが少なかった。
渡辺颯は歩道の縁石に座り、松本章文と電話をしていた。
彼は眉を上げて「彼女に黒い背景があるって?」と言った。
渡辺颯は白鳥春姫という名前を一度ならず耳にしていたが、松本章文の説明を聞いて非常に驚いた。
「あの日格闘場で見かけたのが彼女だよ」松本章文は冷静な声で言った。「黒水通りで、カメラを持って撮影するなんて、バックグラウンドがないとできないだろう?」
渡辺颯は白川華怜を見かけ、立ち上がって手を振った。
「でも白鳥春姫は引きこもっているらしくて、誰も連絡が取れないんだ」松本章文が言った。「佳穂を待っているところだよ。彼女の先生なら必ず白鳥春姫と連絡が取れるはずだ。」
柳井佳穂の先生は藤野院長で、藤野院長は白鳥春姫の編曲者だった。