【そうだよね、家だと問題を解く気も起きないよね】
【でも手はピアニストみたいな手だね……】
カメラには、白い手が紙の上でペンを持って字を書いている様子が映っていた。その手は長く白く、関節の線が美しく、カメラの下で芸術品のように見えた。
コメントが流れる中、カメラは突然スマートフォンにクローズアップした。
誰もが画面に表示された問題を見ることができた。真空中の球体に波長280ナノメートルの紫外線を照射……光電子が脱出する時の最大運動速度……無限遠での速度……光電子の数を求めよ。
番組スタッフは横に土下座する黄色い顔の絵文字を添え、「今の高校生は大変だね」とコメントを付けた。
【問題の一つ一つは分かるけど、つなげると分からなくなる】
【これが高校の問題だって本当に確認した?】
【制作陣マジでおかしいよ、他は我慢したけど、どの普通の高校生がこんな問題解けるの?】
【設定が露骨すぎ、せめて普通の高校生が何を学んでるか調べてよ!】
コメントが再び流れ始め、その中に「江渡」というコメントが何個か流れていった。
木村浩はこれらのコメントを見ながら、整った眉目に戸惑いの色を浮かべ、「この問題、難しいの?」
「まあまあかな」白川華怜はゆっくりと水を飲みながら言った。「私は解けるけど、畑野くんは時間が足りないみたい」
木村浩は後ろに寄りかかり、「彼はいつもちょっと鈍いからね」
横で、何も理解できない安藤宗次は「……」
彼は今の自分がコメント欄の視聴者たちと同じだと感じていた。
幸い、それもつかの間で、遠山貴雲の登場で視聴者たちの話題は変わった。遠山貴雲が画面に映るや否や、番組スタッフは横に彼の名前を表示した——
遠山貴雲、39歳、現役弁護士。
白鳥春姫は敬意を込めて彼を遠山律夫と呼んだ。
【遠山律夫?聞いたことないけど、これって売名?】
【+1、番組が鈴村景塚を呼べると思ってた】
【前半はよかったのに、後半がこんなにダメなの?】
すぐに、遠山律夫がジャガイモを切るシーンが映し出され、ネットユーザーたちはようやく満足した:【制作陣、正直に言いなよ、これって五つ星シェフでしょ~】
【ハハハ梅田先生笑わせるわ、こっそりジャガイモ切りに行くなんて】
【……】
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『友よ來たれ』は格闘王のおかげで再びトレンド入りした。