監督は手を伸ばしてそのコメントを削除し、広報部にネットの世論に注意するよう指示した。
黒水通りの小山華は白鳥春姫のコネだし、番組スタッフにそんな力があるはずがない。
もしそんなコネがあれば、高橋雅や守田仗助のようなmoriaをレギュラーとして招くはずだ。
「鈴村弁護士のことまで言うなんて」と副監督が横から口を開いた。「本当に鈴村弁護士から内容証明が来ても怖くないのかな」
「話題が大きすぎる...」監督は携帯を握りしめ、入口の方を見つめた。「この騒ぎの最中、番組が続けられるかどうか分からない」
公式サイトの動画はすぐに再編集してアップロードされ、白川華怜と遠山貴雲に関する編集部分もすぐに削除された。彼らは事態を最小限に抑えようとした。
ネット上の騒動は収まりつつあるようだった。
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白川華怜の方では。
彼女と木村浩は何も問題があるとは思わず、二人もあまりネットを見ないので、テレビを見終わった。
木村浩は上着を持って帰り、木村翼は安藤宗次と一緒に残った。江渡に戻る時にレゴを持ってこなかったので、ずっと密かに安藤宗次の所に置いていた。
人が帰った後、木村翼は自分のバッグを抱えてレゴを取りに行った。
安藤宗次は彼の小さなパジャマを持ってきて、一緒にお風呂に行った。木村翼はこの年齢で完全に一人で入浴できるが、安藤宗次は彼が一人で怖がることを心配して、小さな椅子を持ってバスタブの横に座って待っていた。
木村翼は大人しくお風呂に入り、安藤宗次は彼のためにアヒルのおもちゃをバスタブに浮かべていた。
ただし木村翼はいつも内向的で、アヒルのおもちゃで遊ぶことは一度もなかった。
安藤宗次が自分の絵を見ている間、木村翼は安藤宗次が自分に注目していないのを見て、やっと短い指を伸ばしてアヒルのおもちゃをつついた。アヒルの頭を水中に押し込み、浮き上がってくるとまた押し込んだ。
そんなことを十数回繰り返した。
安藤宗次は同じ姿勢で5分経ち、首が痛くなってきた。木村翼がまだアヒルをつついているのを見て、思わず咳払いをした。
木村翼はすぐにアヒルから手を離し、手で水をすくって顔を洗った。
安藤宗次はゆっくりと顔を上げて、「終わった?」と聞いた。
木村翼は頷いた。