全国統一試験のトップは北区の片田舎から出現し、北区教育委員会にもすぐにその知らせが届いた。
メディアは大々的に報道することはできなかったが、業界内での情報は素早く広がり、祝福の電話が次々と寄せられた。
陽城市はもちろん、北区でもこれほどの栄光の瞬間はなかった。四大都市の中で西町の教育は北区よりもかなり優れていたが、今回は北区が江渡を上回った。
中田局長は今朝早くから江渡教育委員会から通知を受け取り、教育予算が大幅に増額されることになった。
北区教育委員会と陽城教育委員会の両方が昇進することになり、中田局長は江渡へ異動することが決まった。
これが全国統一試験トップの成果だった。
中田局長は直ちに統一試験トップの情報を調べ始めたが、教育委員会の局長という立場でさえ、白川華怜という生徒の情報は一切見つからなかった。
彼女の記録はどこを探しても空白で、陽城第一高校の生徒だということしかわからなかった。彼女の情報は封鎖されていた。これも不思議ではなく、上層部は特別な人材を常に厳重に保護していた。そのため、中田局長は彼女が並の人物ではないと確信を深めた。
中田局長が陽城第一高校に行き、北城校長とこの突如現れた黒馬について話し合おうとした時、彼女が以前は北区の住人だったことを知った。
彼女の父親は北区にいた。
そこで校長と急いでやって来たのだった。
中田局長は礼儀正しい態度で接したが、白川明知は話を聞いて混乱していた。「……華怜?」
白川当主も驚いていた。彼は白川華怜が白川明知の、族譜から除名された娘だと知っていた。
白川執事はすでに中田局長と校長にお茶を入れていた。
「はい、白川華怜さんが今回の全国統一試験でトップを取りました。江渡大学も非常に注目しています」中田局長はソファに座り、上着を腕にかけたまま、白川明知に微笑みかけて言った。「江渡大学の入試事務局の方々がもうすぐ到着すると思います。ところで、白川華怜さんはまだ北区に戻って来ないのですか?」
試験の成績は一昨日に発表されたばかりで、陽城市と各大学の間で話題が沸騰していた。中田局長は江渡大学の入試事務局が来ると思っていたが、学長自身が来ていたことは知らなかった。
白川明知は白井沙耶香の江渡大学入学に関する様々な事項の計画に没頭しており、他のことに気を取られていなかった。