それでも、彼らは夜通し陽城市へ向かうのに十分な理由があった。明日の祝賀会は?
今はそんなことを気にしている場合ではない。
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28日、早朝。
国境近くの広大な草原にある空港。
飛行機の車輪がコンクリートの地面を転がり、両翼が両側を横切り、ゆっくりと停止した。
空港のスタッフが整然と階段を設置し、乗客の降機を待った。
白川華怜はカーペットを踏みながら降りてきて、軽く顔を上げた。これが彼女の初めての訪問だった。
階段の下で、民族衣装を着た人が二人の降機を見て、恭しく前に進み、手帳を差し出した。「木村坊ちゃま、これが私どもで用意した観光スポットのスケジュールです。」
木村浩は右手に書類を持っており、それを聞くと手を変えて手帳を受け取った。
「どこに行きたいか見てみて。」彼は淡々とした表情で、一瞥しただけで手帳を何気なく白川華怜に渡した。
民族衣装を着た人はようやく恐る恐る顔を上げた。
隣に立つ女性を見ると、彼女は長いドレスを着ており、スカートが軽く揺れ、背後の青空に映え、スカートの水色の模様は絶妙な潤いを帯びていた。
白川華怜は手帳に目を通し、そこにはいくつかのルートが計画されていた。
蔵王の墓……
細い指が最後のルートで止まり、彼女は少し間を置いて「ここ」と言った。
木村浩は手帳を返しながら「ここに行きましょう」と言った。
二人とも明らかに観光を本気で楽しむタイプではなかった。
二人が去った後、誰かが白川華怜が指差したルートを見て驚いて言った。「ここは立入禁止で、外部の観光客には公開していないはずでは?」
「立入禁止?」民族衣装を着た中年男性が顔を上げ、静かに言った。「誰に対してかによりますよ。」
若者は頭を掻きながら。
理解できない様子だった。
中年男性は手帳を持ちながら、もう一方の手で慣れた様子で電話をかけた。「あの家のことですよ。うちのボスは彼らの邸宅の門がどちら向きに開くかさえ知らないんですから。」
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まだ正式な夏休みではなかった。
観光客は少なかった。
白川華怜は水のボトルを持って、ある丘の麓に立っていた。
傍らの墓守が木村浩に説明した。「この山道を上がると、蔵王の墓があります。」
「今でも墓守がいるんですか?」木村浩は彼が言う墓地の方を見た。