四年生も学校を離れ、図書館の人も以前ほど多くなく、早起きして席を確保する必要もなくなった。
昼時、渡辺文寺は相変わらず白川華怜に三食堂に来るようメッセージを送った。
江渡大学の食堂は学生証でしか支払えず、渡辺文寺は彼女が図書館にいることを知ると、一緒に食事をするよう誘った。
夏休み中、学校は三つの食堂を閉鎖したが、三食堂はまだ営業しており、図書館からもそれほど遠くなかった。白川華怜が着いた時、渡辺文寺と田中宏司はすでに料理を注文していた。
「彼女は本当に黄原院長に会えたんだ」物理学科の仲間として、田中宏司は斉藤笹美たちとも親しかった。「コネがあるっていいよな」
斉藤笹美の家族は左山博士を知っており、左山博士は黄原院長の元で博士号を取得した人物だった。
田中宏司は話しながら、不思議そうに渡辺文寺に尋ねた。「君はまだ指導教官を決めていないの?」