後の一文は田中宏司が渡辺文寺に聞いたものだ。
白川華怜はまだ彼らの学校に来ていないので、先生たちのことは当然知らないはずだ。
渡辺文寺は落ち着いて参加プラットフォームを開き、少し顔を傾けて「江川教授を選んだんじゃないのか?」と言った。
「へへ」田中宏司は頷いた。「わかってるね!」
江川教授の研究室に入れないなら、指導教官として選ぶということだ。
渡辺文寺はページを開き、下の指導教官の欄に「江川守」と三文字を入力して、システムの反応を待った。
二人が指導教官の件について相談している間、白川華怜はパソコンの前に座り、フォルダを開いて田中宏司たちの以前の論文を確認していた。
以前作成した最初のモデリングはトポロジー最短経路問題で、白川華怜もこれについて研究していたので、真剣に見ていた。
フォルダ内のコードについては、実行はしなかった。まだ慣れていないからだ。
三人は後ろの列に座っており、白川華怜は右端の角に座り、隣は渡辺文寺で、渡辺文寺の隣は田中宏司だった。
昼になり、白川華怜は彼らの以前のモデリングを見終わってから、携帯電話と脇に置いていた扇子を手に取り、食堂へ向かった。
コンピュータ室は第三食堂に近かった。
道中で白川華怜の携帯が鳴り、山田文雄からだった。
「姉さん」山田文雄は非常に正々堂々と「姉さん」と呼んだ。「僕が送った論文をまだ見てないの?」
白川華怜は左手で携帯を耳に当て、右手で白玉の扇子を持ち、氷のような指先で扇骨を叩きながら「この二日間は時間がなかったわ」と答えた。
「何してるの?」山田文雄の方から空港のアナウンスが聞こえてきた。
白川華怜は答えずに「空港にいるの?」と尋ねた。
「うん」山田文雄はそのことを思い出し「木村坊ちゃまが戻ってきたでしょう?手元の仕事を引き継ぎに出して、プロジェクトも彼に続いて戻ってきたから、今から報告に行くところなんだ。最近の機嫌がどうなのかも分からないけど」
木村浩の話になると、山田文雄は少し不安そうだった。
彼も長い間木村浩に会っていなかった。最近のオンラインミーティングでは叱られたばかりだった。
江渡大学の多くの人が憧れる名誉校友に毎回ひどい目に遭わされていた。木村浩が何を叱ったのかは分からないが、白川華怜は「彼の機嫌は悪くないはずよ」と慰めた。