235 木場院長:私の番でしょう?(2/2)

「彼らがなぜこの件に関わるんだ?」田中広道の手は震えていた。彼は田中北実を見つめた。

木村浩に何かあったわけでもないのに?

彼らだけでなく、田中北実もこの件の背後にいる人物を知った時、驚愕した。

彼女は二人を見つめ、口を開いた。「あの二人の学生は江渡大学の人間よ。江渡大学がどれだけ自分の学生を守るか、あなたたち知ってるでしょう?一人は今年の江渡大学の高校トップ合格者で、もう一人の酒を飲んでいた女の子も、本田直哉に次ぐ成績の学生よ。特に白川くんは、今年江川校長が personally 保証した人で、富山のクラスにほぼ内定していたの。十数年前の雪山の事件、聞いたことあるでしょう?」

十数年前、多くの教授や学者が亡くなり、江渡大学の有望な若者たちも雪山に埋もれた。

研究も大きな打撃を受け、発展が停滞した。

研究界に大きな衝撃を与え、それ以来、CLAがこれらの人々を保護するために特別な人員を派遣している。

「吉田瑞希、こんな状況で、あなたの弟が江渡でこんなことをするなんて、これは江渡大学の根幹を揺るがすようなものよ!彼らがなぜこの件に関わるか、分かるでしょう?」田中北実はそう言い終えると、休憩室を出て行った。

田中北実が白川華怜が今年の高校トップ合格者だと言うのを聞いて、吉田瑞希の表情は茫然となった。

彼女は最初、田中家が養生堂や木村浩のことで大騒ぎしているだけだと思っていた。

まさかこんな理由が背後にあるとは。

「吉田瑞希、今回は本当にお前に酷い目に遭わされたよ」田中広道は背中から冷や汗を流していた。

二人はここまで簡単には来なかった。

特に吉田瑞希は、もともと富田区から引っ越してきた身だった。

出世街道を駆け上がってきたのに。

しかし今は……

CLAに目をつけられては、田中家が彼らを重用することはもうありえない。それどころか、これからどこに行っても、常に誰かに監視されているかもしれない。

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海山マンション。

木村浩が戻ってきた時、安藤秀秋は303号室の様子を見ていた。

宮山小町は安藤秀秋に白川華怜の書斎を案内していた。

白川華怜はベランダで空沢康利からの電話を受けていた。

彼女はベランダに寄りかかり、白菜の種が植えられたプランターに手を伸ばした。種はすでに芽を出し、約5センチほど成長していた。