236 小さな師妹、誕生日の客

木場院長は普段から忙しく、学生の指導はもう行っていないものの、ポスドクたちが研究の方向性について相談に来ることがあった。ただし、なかなか会えないことが多かった。

審査や、フォーラム、学術会議への参加もあり、チームの教員たちとも相談することが多かった。

白川華怜が江渡に来てからずっと、彼は時間が取れず、彼女の方から来てもらうことにした。

ただ、白川華怜は来てすぐに渡辺文寺と田中宏司と一緒に数学モデリングコンテストに参加し、その後は渡辺千月の件もあり、結局時間が取れなかった。

「この数日は空いています」白川華怜は箸を置いた。

「この数日?」電話の向こうで、木場院長は自分のパソコンを手に取り、「じゃあ今日にしよう。私は研究所で執務しているから、ここに来てくれれば良い。住所を送るよ」