支配人は恭しく松本章文を案内してきた。
彼は先ほど階下でケーキの準備をしていたが、入るなり木村浩の灯りに照らされてぼんやりとした横顔を見て、彼の顔から緩んだ笑みが消えた。「木村坊ちゃま」
彼は木村浩に挨拶した。
木村浩は怠そうに首を傾け、とても慵懶な姿勢で、淡い瞳で松本章文を一瞥した。普段は威厳に満ちた鳳凰のような目も今日は随分と穏やかで、彼は松本章文に軽く頷いただけで、白川華怜の写真撮影を見続けた。
松本章文は体を強張らせ、余計な視線を送る勇気もなかった。
ただ渡辺颯の隣に座り、小声で尋ねた。「どうして皆、江渡にいるんですか?」
松本章文が聞いているのは宮山小町たちのことだった。
「皆、江渡に合格したんだ」渡辺颯は宮山小町から聞いていた。彼女はメディア大学に合格したのだ。