江渡大学の正門前。
安藤秀秋は大野助手の車に乗ったことがあり、ナンバープレートを覚えていた。明石真治の方を向いて「明石くん、迎えが来たから、送らなくていいよ」と言った。
明石真治は頷き、その場を離れずにサングラス越しに大野助手の車のナンバープレートを見つめていた。
大野助手は運転席から降りてきた。
彼は反対側に歩き、安藤秀秋たちの一行を見た。
安藤秀秋と水島亜美には会ったことがあったが、彼の視線は水島亜美の隣にいる女性に注がれた。
夏の太陽は遅くまで沈まず、今は光が柔らかく、太陽全体が優しい霧に包まれているようだった。涼しげな金色の光が斜めに彼女に当たり、エメラルドグリーンのドレスが風に揺れていた。
眉目は物憂げで奔放だった。
この青春真っ盛りの年齢にふさわしい気概を持ちながら、この年齢では珍しい天下を論じるような余裕も備えていた。