407号室。
白川華怜はベランダに寄りかかり、髪を全て後ろに垂らしていた。片手をポケットに無造作に入れ、前髪が垂れ下がり、もう片方の手にはスマートフォンを持ち、白い指先で画面をタップしていた。
「トラック……」彼女は目を細めた。
江渡大学はここ数日新入生が多く、車も多い。往来する車はみな遅めに走っていて、新入生に接触しないよう気を付けているのに、どうしてこのタイミングで事故が起きたのだろう?
彼女は部屋の中に入り、机の上に置いてある玉のかんざしを取り、ゆっくりと髪を結い上げた。その漆黑の瞳を伏せると、まるで底なしの深淵のようだった。
白川華怜は谷部千晶が出てきたら風呂に入ろうと思っていたが、玉のかんざしを抜こうとした瞬間、安藤宗次から電話がかかってきた。
吉田実里は自分のパジャマを取り出してベッドから降りてきたところで、白川華怜が再び髪を結い上げるのを見て驚いた。「出かけるの?」