近藤希美は席で贈り物を開けていた。
彼女の後ろにいた吉田実里が寮のドアを開けると、入り口に立っている女子学生が目に入った。「青葉先輩?」
今年の物理学部は女子学生が少なく、青葉紗矢はそのうちの何人かを覚えていた。彼女は笑顔で407号室に入って来た。「谷部千晶と白川華怜を探しているの」
近藤希美は先輩たちに対して常に敬意を払っていたので、立ち上がって青葉紗矢に挨拶した。
青葉紗矢は白川華怜と谷部千晶に新入生歓迎会への参加を説得しに来たのだった。「月末なの。プログラムはまだ確定していないから、十分間に合うわ」
「谷部さん、ダンスが得意なんじゃない?」青葉紗矢は谷部千晶に話しかけた。「私たち物理学部にようやくあなたたちのような後輩が来てくれて。今年は金融学部と合同で開催するの。彼らの学部には音楽を副専攻している人気のインフルエンサーがいるらしいわ。私たち物理学部も今年こそ台頭するチャンスよ!」
例年、新入生たちは競って出演を希望していた。特に男子学生たちは。
青葉紗矢は話し終えると、白川華怜の方を向いた。
白川華怜は自分の席に座り、パソコンを脇に置き、ベージュのワンピースを椅子に広げ、黒いペンで五線譜を書いていた。
青葉紗矢は左側に楽典の本があるのを見て、彼女が音楽の知識があるのだろうと思った。「後輩、一曲歌ってみない?谷部さんと一緒に出演するの」
谷部千晶はペンを置き、顔を上げて「先輩、考えさせてください」と言った。
考えるということは可能性があるということ。青葉紗矢は頷き、谷部千晶と電話番号を交換した。
「そうそう」青葉紗矢は何か思い出したように白川華怜に話しかけた。「学生会やサークルで入りたいものはある?学部の学生会だけじゃなくて、青年社会科学研究会もあるわ。必要なら私に相談してね」
「はい、ありがとうございます」白川華怜は礼儀正しく答えた。
青葉紗矢が去った後、近藤希美と吉田実里は目を合わせた。これが人生の差なのだ。
近藤希美は贈り物の箱を開け続けた。中にはシルクの防塵袋があり、その中には小さな前髪用のヘアクリップが入っていた。精巧な蝶の形で、左の羽は一つの完全な淡いピンクの透明な水晶で、右の羽は透明なラインストーンが敷き詰められていた。
寮の照明の下で輝いていた。