二人とも海山に住むのが好きだった。
車が建物の下に止まったばかりだった。
白川華怜は建物の入り口に停まっている白いナンバープレートのフォルクスワーゲンを見かけた。
助手席のドアを開けると、白い車の運転席に座っている人の後ろ姿が見覚えがあるような気がした。
フォルクスワーゲンの運転席の男性も丁度車から降り、トランクを開けて荷物を取り出そうとしていた。白川華怜を見ても少しも驚いた様子はなく、挨拶をした。「白川くん」
白川華怜は助手席のドアを閉め、顔を上げた。とても驚いた様子で「山田おじさん?」
空沢康利から山田の父が江渡にいると聞いていたが、まさかここで会うとは思っていなかった。
木村翼が飛び降りてきて、白川華怜のスカートを掴んだ。最後の飴細工をくわえながら顔を上げた。