田中宏司と渡辺文寺がすぐにやってきた。
「華怜」渡辺文寺が白川華怜に挨拶した。
「後輩と彼女のクラスメイトは本当に頑張り屋だね」田中宏司は発表のPPTを完成させる必要があり、白川華怜と渡辺文寺と相談したい問題があった。彼は白川華怜に挨拶をし、小声で渡辺文寺と話し合った。
彼は一年生の時、白川華怜たちのような意識は全くなかった。大学の数年間は、生まれた環境や階級を突破する最高の機会だ。
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三人は一緒に図書館に入った。
江渡大学図書館は多く、自習スペースは十分あり、一般席もあれば、小さなグループ学習室や個人研究室もある。
区切られた個人研究室はグループディスカッションに最適だ。
白川華怜は螺旋階段を上がり、研究室外のカードリーダーはすでに消えており、この部屋にはすでに小グループがいることを示していた。
研究室は広くなく、長方形のテーブルがあり、空沢康利は左側の席に座り、畑野景明は彼の右側に座り、島田凜は畑野景明と数席離れていた。
彼女がガラスのドアを開けると、パソコンに向かっていた空沢康利がちょうど顔を上げ、小声で「華怜さん」と声をかけた。
彼は白川華怜の後ろを見て、渡辺文寺と田中宏司を見つけ、一緒に挨拶した。「渡辺先輩、田中先輩」
彼らは夏休みにすでに会っていた。
声を聞いて、島田凜も少し顔を上げ、鼻の上の眼鏡を押し上げた。
彼女は分子生物学を勉強していて、横には化学の教科書も置いてあった。
この二つの科目は白川華怜の苦手分野だ。彼女は静かに島田凜の隣の椅子を引いて座り、Bluetoothイヤホンを外して横に置き、キャンバスバッグを取り出した。
バッグの中には彼女のパソコンと新しく印刷した資料が入っていた。
「どの問題で詰まってる?」彼女は小声で空沢康利に尋ねた。
空沢康利は直接手元の問題を彼女に渡した。白川華怜は一目見て、それが力学の問題で、放物線運動に関係し、二つの小さな物体が放物線状の金属線に細い棒で固定されているものだとわかった。
三つの小問があり、最初の二問は空沢康利が解いていた。
最後の小問、ネズミが上に登る時間だけが、大半は解けていたものの、最後の部分が残っていた。