彼女は白川華怜を連れて着替えに行き、外には木村浩と藤野院長だけが残された。
二人には特に話すことはなかった。
木村坊ちゃまは控えめにしているものの、その威厳は依然として強く、藤野院長は隣の間宮さんと話をしていた。
着替えにはそれほど時間はかからなかったが、宮山小町が白川華怜に簡単なメイクを施すため、二人が出てくるまでに20分ほどかかった。
物音がしたとき、文竹に寄りかかっていた木村浩はようやく顔を上げた。
白川華怜が先に出てきて、花柄の暖簾をくぐった。彼女の髪は長く、一本の簪では束ねきれず、両側から髪を少しずつ取って後ろで結んでいた。
暖簾をくぐった瞬間、後ろの髪が胸の前に垂れ落ちた。
深紅の戦国時代の衣装が床まで優雅に広がっていた。
宮山小町は半月かけてこの場所を決めた。光の具合は本当に絶妙で、過度に眩しい光もなく、わざとらしい照明もなく、自然な古風な雰囲気があった。