264本物の初恋、白川華怜もお箏を弾く

これは視覚と聴覚の饗宴だった。

藤野信勝と江渡音楽大学の先生方による専門的な編曲。

緩急自在で剛柔併せ持つ槍さばき、派手な見せ場もなく、ワイヤーも使っていない。

最後の誰も真似できない裏返しの槍、その場の圧倒的な迫力を感じてこそ、これこそが白川軍の奥義、裏返しの槍だと分かる——

無双の技!

終演、幕引き。

白川華怜が楽屋に戻ると、幕の後ろで待機していた二人の司会者が出てこなかった。二人は幕際に立ち止まり、台本を手に動かずに彼女を見つめていた。

楽屋はそれほど広くなく、白川華怜は右手で軽々と槍を持ち、内から外へと気品を漂わせながら、二人の司会者に軽く頷いて、「そろそろ出番ですよね?」と声をかけた。

「あ、」女性司会者は呆然とした表情からようやく我に返り、銀色のドレスを整えながら、「そうそう、私たちの番ね。」