木村浩は門を出て外に歩いていくと、まだ多くの人々が三々五々と集まって見物していた。時折「長槍」「動画」「白川華怜」といった言葉が聞こえてきた。
木村浩は彼らを一瞥し、冷たい表情で後ろの道で白川華怜を待った。
白川華怜は着替えを済ませ、自分のバッグを持って出てきた。青葉紗矢は最後まで彼女の腕を取って見送った。
彼女は白川華怜ともっと話したかったが、出てきた途端に向かい側に立っている冷たい木村浩を見て、青葉紗矢は急に手を離し、もう白川華怜の腕に抱きつく勇気が出なかった。
**
大講堂では、二番目の演目がグループダンスで、これもまた賑やかだった。
ポップダンスで、音響は大音量だった。
しかし、会場の大半の観客はまだ先ほどの長槍演技と音楽の余韻に浸っていた。あの古風な編曲、太鼓の音、笙の音、琵琶の音、お箏の音と比べると...このポップミュージックは少々粗削りで、人々の心を打つものではなかった。
多くの観客は興味を失っていた。
二列目の人々も含めて。
松木奥様は元々白井沙耶香と話をしていて、後の演技をしっかりとするように、できれば金融学部の教授や学部長の印象に残るようにと言っていた。そうすれば自然と人脈や交友関係が広がるはずだと、高い梧桐には必ず鳳凰が集まると。
しかし音楽が鳴り始めると、思わずステージの中央に目を向けてしまった。
もしあの顔が彼女の知っている顔でなければ、松木奥様はこれが以前知っていた白川華怜と同一人物だとは疑っただろう。
本当に輝いていた。
「これが本当に白川華怜なの?」松木奥様は椅子の背もたれに寄りかかった。
彼女の隣で、松木皆斗と白井沙耶香は何も言わなかった。
松木皆斗も携帯を見ながら、夏休みから仲間たちと投資の話をしていた。演目を見ながらもそういった話をしていたが、今は彼の目が少しさまよっていた。
「沙耶香、」松木奥様は白井沙耶香の心情をよく理解していた、「あなたのお箏も素晴らしいわ、プレッシャーを感じる必要はないわ。」
松木奥様が話し始めると、松木皆斗は徐々に我に返った。
最前列では既に何人かが席を立っていた。
最前列以外でも、後ろの方でもちらほらと観客が退場していった。
**
最後列。