265 白川華怜の退路、まずまずの締めくくり(2)

空沢康利と島田凜たちは裏口から出て行った。

「あなたたち先に行って」宮山小町は島田凜に言った。「私はとりさんと外公と一緒に公演を見るから。」

今夜入場できたのは貴重な機会で、安藤宗次と水島亜美もまだ公演を見ていた。

宮山小町は空沢康利たちと一緒に帰らなかった。彼女はメディアを専攻していて、今はそれなりに成功していて、他の人ほど学業のプレッシャーはなかった。

伊田晴彦の周りの人々は音を聞いて我に返り、「伊田さん、私たちも行きますか?」

富山のクラスのカリキュラムはいつも厳しく、伊田晴彦たちが今日来たのは空沢康利との約束を守るためで、元々は白川華怜を見るためだったが、開幕からこんなに衝撃的だとは思わなかった。

伊田晴彦は本来もう少し見ていたかったが、金融学部の宣伝も大々的で、横断幕は富山のクラスの方まで貼られていた。

しかし空沢康利の言葉を聞いて、少し興味を失った。「じゃあ、帰って宿題をしましょうか。」

ここ数週間、空沢康利と畑野景明たちの進歩が少し速すぎて、最初は白川華怜と本田直哉だけが富山のクラスの4時間の授業のペースについていけた。

今では畑野景明と空沢康利は富山のクラスで魚が水を得たようになっていた。

この適応能力は同じグループの伊田晴彦たちにとって大きなプレッシャーとなっていた。

空沢康利たちがもう見るのを止めて、帰って勉強することを選んだので、伊田晴彦たちも全員一致で自習室に戻ることにした。

一度に10人近くが出て行き、元々少し混雑していた後方が突然空いた感じになった。

「どうして皆帰っちゃったの?」学生会のメンバーである近藤希美は、晩会が終わった後、会場の掃除や小道具と舞台裏の処理があるため、今は帰れなかった。

吉田実里も帰れなかった。「もう少し見ましょう、金融学部の出し物を期待しましょう。」

二人が話している間、前でライブ配信をしている男子学生も視聴者を引き止めようとしていた。「オープニングがこんなに盛り上がったんだから、みんな考えてみて、後半はもっと面白くなるはず……」

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講堂の外。

島田凜は畑野景明たちとバス停でスクールバスを待っていた。伊田晴彦たちも追いついて、本を持った年配の教授が真っ直ぐに道路標識の横に立ってバスを待っていた。

今日は江渡大学が休みで、学校は人が少なくなっていた。