263百兵の王、故人の帰還のごとく!(2更)_2

青葉紗矢は彼女を見つめ、ずっと落ち着かなかった心が、瞬く間に静まった。

「出番はいつ?」白川華怜はテーブルの上の携帯を見て、もう5時になっていた。

「あっ」青葉紗矢は我に返り、「司会者が今上がったところよ。二人が降りてきたら、あなたの番。そうそう、音楽、音響さん準備できた?」

「ご安心ください、部長」パソコンの前に座って音楽を操作している男子学生が顔を上げ、青葉紗矢に「OK」のサインを送った。

経済学部の学生会のメンバーが興味深そうに近寄ってきて覗き込んだ。

白川華怜の音楽のタイトルは単純に「簡」という一文字だけだった。「これ、どんな曲?聞いたことないな」

「わかりません」音楽を操作している男子学生は聞いたことがあった。「でも、これは歌じゃなくて純音楽です。白川さんが送ってきたもので、彼女が探してきたんでしょう」