266 小師妹の神業、即興編曲:簡

大講堂は江渡音楽大学の音響設備を借り、音は豊かで透明感があり、丸みを帯びていて、様々な楽器の重なりが明確に区別できた。

振動感は最高潮に達していた。

巨匠級の音楽アンサンブルを生で聴くのに劣らない満足感があった。

そのため、オープニングの演技の後、二番目に登場したダンス団体も、色あせて見えた。

最後の楽器独奏に至っては言うまでもない。

あまりにも物足りなかった。

コメント欄ではまだ議論が続いていた。

【それに、お箏は「過去を書き直す」という曲ほど良くなかった】

【もちろん、この曲は春姫さんが一番すごいけど】

【博様と藤野院長をどこに置いているの?】

【そういえば、オープニングダンスの伴奏がすごく良かったと思わない?音楽認識アプリで何度も試したけど分からなかった】

【それにあのスタイル……誰か藤野院長にメンションする勇気ある?】

【……】

コメント欄は雑談に移り、配信ルームでは最後のお箏に真剣に耳を傾ける人はもういなくなり、白川華怜のオープニング曲のスタイルについて議論し、このBGMの出所を探し始めた。

しかし3時間経っても、白川華怜の長槍シーンの切り取り動画は数百から数千にも上り、数万人のネットユーザーでもこの音楽の出所を見つけることができなかった。

会場で晩会を見ていた人々も、互いに頭を寄せ合って議論していた。

落差が大きすぎた。オープニングがあれほど盛り上がったので、最後のトリはさらに素晴らしいものになると思っていたのに、オープニングのBGMにも及ばず、晩会全体が出だしは良かったものの後半は低調に終わった。

白川華怜が出だしを盛り上げ、他の人が後半を低調にした。

苦労して前列の席を確保した人々もスマートフォンを手に会場を後にした。「後半がこんなだと分かっていれば、予約変更しなかったのに。7時の高速鉄道がちょうど良かった、オープニングを見て帰ればよかった」

「そうだね、私も……」

「……」

白鳥寿明と金融学部の学生会のメンバーは前から2列目に立っており、これらの人々の囁き声をはっきりと聞くことができた。

トリの演技がまだ終わっていないのに、観客は半分いなくなっていた。

白井沙耶香のファンたちでさえ、トリの内容は期待はずれだと感じていた。

この晩会は開幕時は盛大だったが、閉幕は静かに終わってしまった。