266小師妹の神業、即興編曲:簡_2

白川華怜の4分28秒の槍術演武が様々なカットに編集され、特に最後のポーズのシーンが多く取り上げられていた。

開演時のライトが当たるシーンや、裏返しの槍のシーンなども。

どの編集バージョンも、少なくとも20万以上の「いいね」がついており、最も人気のある動画は数百万の「いいね」を獲得していた。

藤野院長が見ていたのは、彼女が宙を舞い、裏返しの槍を披露するシーンの編集版だった。

その動画のコメント欄には「やっと春姫さんの『彼女はまだまだ未熟』という言葉の意味が分かった。比べてみると、春姫さんも及ばないレベル」という声が並んでいた。

槍術、お箏。

偶然にも、白川華怜は両方とも習得していた。

「習っていました」白川華怜は少し意外そうに答えた。「こんな遅い時間に電話をくださったのは、それを聞きたかったのですか?」

「もちろんそれだけじゃない。江渡で国際音楽交流会が開かれる」藤野院長は本題に入った。「音楽界の権威が集まる。君も参加して、インスピレーションを得てみたらどうだろう」

これは藤野院長特有の、新曲を作るよう促す方法だった。

白川華怜は毎日富山のクラスで授業を受け、教授の出題した問題を解き、さらに大野旭たちの博源塾の問題を見てあげ、暇な時には藤野悟志と古文について議論していた。

休暇になると木場院長が研究室に呼び出し、毎日充実した日々を送っていたが、音楽室に行く時間がほとんどなかった。

「はい」白川華怜は数式を書きながら、上の空で答えた。

「私には古くからの友人がいてね、きっと君のことを気に入ると思うんだが」藤野院長は彼女の生返事と真面目な口調を聞いて、きっと宿題をしているのだろうと察した。「まあいい、宿題を続けなさい」

彼は電話を切った。

タブレットを見つめながら、お箏ができ、『白衣行』を見事に演奏し、さらに裏返しの槍の演武で一晩のうちにネットで話題になった。藤野院長は思い出した。以前陽城市で、白川華怜は書道協会の会長とも親しかった。

自分の甥の孫も白川華怜の言うことをよく聞いていた。

藤野家の人々は皆梁体字を習得しており、藤野院長も上手ではないが書くことはできた。

彼は白川華怜の字を見たことがあった。整然としていながら独特の風格を持つ館閣体だった。では彼女は、梁体字も書けるのだろうか?