木村家唯一の支配者、藤野院長の招待

安藤秀秋は醤油を持って入ると、キッチンから田中局長の声が聞こえ、早く醤油を持ってくるように言われた。

ランスは中華料理に詳しくなく、すぐに藤野院長と安藤宗次の将棋を見に行った。

風雅な囲碁ではなく、五目並べだった。

この二人は実力が拮抗していて、五目並べは盤面の半分以上進んでも勝負がつかなかった。

須藤は藤野院長とランスを知らず、二人とも初対面だったが、キッチンで料理をしている田中局長の声は聞き分けられた。彼は緊張しながら入って来て、安藤宗次に挨拶をしてから出て行った。

外に向かう途中、入り口で木製のコートハンガーに二着のスーツジャケットが掛かっているのを見た。

その横には青いゲストパスがあった。

須藤はそっとドアを閉めながら、青いゲストパスの一番上の文字と紋章を見た——