273対面、出山_3

「それに、あなたの作曲を藤野院長に推薦させていただきます」と井上英明は微笑んで言った。「彼が直接あなたの曲の編曲をしてくれるでしょう」

藤野院長は以前からお箏の伝承者として江渡音楽大学で名を馳せていた。

この半年間、白鳥春姫の編曲の巨匠として、芸術界で他の人々を大きく引き離していた。

長良寛治自身も編曲ができないわけではなかったが、藤野院長の編曲レベルが彼より高いことは言うまでもなく、作品に「藤野院長」という名前が付くだけでも、その価値は違ってくるだろう。

彼は名刺を持って帰宅し、この件について考え始めた。

劇場の老院長がテーマ曲を募集していることは知っていたし、『木の花』の台本も人を通じて手に入れていた。

井上英明の家は代々演劇に携わっており、彼の祖母は京劇の伝承者で、芸術界では重要な存在だった。