「この二つの物は、一つは墓地の関連資料で、墓地の番号と支払い伝票が含まれています。」
死者の名前は温井文風、それは……父の名前だった。
「お父さんは千葉霊園に埋葬されていて、費用は私が既に更新しておきました。10年後に再度更新が必要になりますが、とにかく、この資料と支払い伝票はしっかり保管してください。今まではこれらを私が保管していましたが、これからは……」
これからは彼女にはこれらを保管する機会はもうないのだ。
「それからこれも……」仁藤心春は話題を変え、もう一つの物を温井卿介の前に差し出した。
それは古銅色のペンダントトップで、時間が経っているため表面には錆びが出ていた。
温井卿介は暗い眼差しで目の前のペンダントトップを見つめていた。
彼はもちろん、これが何なのかよく知っていた。