第22章 予期せぬ賠償請求

言葉を口にした瞬間、山田流真は後悔した。

温井卿介は、このことを誰にも話してはいけないと言っていたのだ。

もし温井卿介の本当の身分を他人に話してしまったら...そう考えると、山田流真は背筋に冷や汗が流れるのを感じた。

「彼女の後ろには誰かいるの?」島田書雅が尋ねた。

山田流真は心虚ろに言った。「僕も推測でしかないけど...さっきの小宮若様の仁藤心春への態度を見ただろう?彼女の後ろに誰もいないなんてことがあり得るかい?」

「でも...」島田書雅はまだ何か違和感を感じていた。

「とにかく、これからは仁藤心春に会ったら、丁寧に接するように。彼女を怒らせないようにね」山田流真は注意を促した。

島田書雅は目を伏せ、心の中の不満を押し殺して「分かったわ。そういえば、さっき仁藤心春が言及した研究ノートって何?」