第85章 もう気にしない

仁藤心春は淡々と言った。「気にするのも一日、気にしないのも一日。だったら気にしない方を選ぶわ。だって、自分のことを気にかけてくれない人を気にする必要なんてないでしょう?」

もし卿介が本当に彼女のことを気にかけていたのなら、彼女との付き合いを暇つぶしのゲームだとは思わなかったはずだ。

秋山瑛真は相手を見つめながら、今の自分の気持ちをどう表現すればいいのか分からなかった。この答えを聞きたかったのか、それとも聞きたくなかったのか。

「たとえ以前そんなに大切に思っていて、特別な感情を持っていたとしても、そんなに簡単に気にしなくなれるの?」と秋山瑛真は続けた。

「私が誰かを好きになって、気にかけるのは、その価値があると思うからよ。でも、もう価値がないと思ったら、その感情は引き上げるわ!」彼女は躊躇なく答えた。