山本綾音はどう考えても不思議に思えた。心春は一体なぜまた温井卿介と付き合い、さらには同棲までしているのだろうか?
以前、心春は温井卿介が身分を隠していたこと、そしてその関係を単なる遊びとしか考えていなかったことで別れたはずなのに、今になって...なぜまた付き合うことになったのだろう?
しかも心春は、これは温井卿介に強要されたわけではなく、自分の意思だと言っている。
では心春が温井卿介と付き合う目的は何なのだろう?まさか本当に温井卿介の権力に頼りたいとか、お金目当てということはないだろう。
「何を考えているの?」優しい声が山本綾音の耳元で響いた。
「心春がなぜまた温井卿介と付き合うことになったのかなって」山本綾音は無意識に答えた。
「私が調べてあげようか?」
「えっ?」山本綾音は我に返り、「いいえ、調べなくていいわ!」