彼女に守られる感じか?仁藤心春は苦笑いを浮かべながら、温井卿介の目を見つめた。
「いいわ」と彼女は答えた。
「じゃあ、期限はお姉さんが死ぬまでだ。死ぬまで、僕を守り続けてくれ」と彼は続けた。
仁藤心春の心が一瞬刺されたように痛んだ。
また死ぬまでか?
でも彼女の命は、一年も残されていないのに。
唇を上げ、彼女は軽く微笑んだ。「いいわ、その時までね」
「じゃあお姉さん、指切りしよう」彼は右手の小指を彼女に差し出した。
仁藤心春は彼の手をじっと見つめた。「指切りげんまんしても、約束を守る気がない人がいれば、その約束は風に消えていくようなものよ」
「その通りだけど、僕はやっぱりお姉さんと指切りがしたいんだ。だって、これはお姉さんが教えてくれたことだから」温井卿介は笑いながら小指で仁藤心春の小指を絡め、お互いの親指を重ねた。「それに、これは単なる約束だよ。お姉さん、忘れないでね。今はあなたの命さえも僕のものなんだから」