第160章 私を守って

山本綾音は自分の心臓が突然掴まれたような感覚に襲われた。

彼がそんな言葉を言うのが嫌だった。その言葉の中にある卑屈さがもっと嫌だった。

「そんなこと言わないでください。障害者に心を動かされないなんて、ただ足が不自由なだけで、障害者なんかじゃありません。それに、学歴も良くて、見た目も良くて、才能もあって、絵も上手だし、ピアノも弾けるし、ビジネスの手腕も凄いじゃないですか。そんなあなたに、誰が心を動かされないわけがありますか?」山本綾音は急いで言った。まるで温井朝岚がこのまま卑屈になってしまうのを恐れているかのように。

温井朝岚は山本綾音をじっと見つめた。「本当に僕のことを良いと思う?」

「もちろんです!」彼女は確信を持って答えた。

「じゃあ、もし僕が君を誘惑したら、心を動かされる?」彼は言った。