「だめですか?実は描かなくても構わないんですが、もしよろしければ、あなたの思うようにメイクを決めていただいて、必要な化粧道具は全て用意してありますから」
温井朝岚はそう言いながら、山本綾音を案内して用意された化粧道具を見せた。
山本綾音は目を見開いて、これらの化粧道具を見つめた。全て新品で、しかも最高級のラグジュアリーブランドばかり。普段、人にメイクをする時には、こんな高価なものは使えなかった。
本当にこれらを使って、彼のメイクをしていいの?
そう考えると、突然わくわくしてきた。
そもそも温井朝岚の容姿や身長は、彼女の好みにぴったりで、撮影の内容や衣装も全て彼女が選んだもの。もしメイクまで彼女が手がけることができれば。
このフォトセッションは、まさに「完全に」彼女の作品になる!