「うん、そうしないと両親が私の怪我を見たら、あれこれ聞かれるでしょうから」山本綾音は言った。着替えの服なら、その時に買えばいいだけの話だ。
「じゃあ、この一週間はどこに住むの?」温井朝岚が尋ねた。
「たぶんホテルに泊まると思う」彼女は言った。「スタジオの方は、後でノートパソコンを取りに行けばいいわ。どうせこの一週間は撮影の仕事もないし、写真の修正や企画書はパソコンで作業できるから」
「今怪我してるのに、ホテル暮らしは不便じゃない?」温井朝岚は眉をひそめて言った。
「ううん、全然便利よ。それに私、出張の時もいつもホテルに泊まってるし、今のビジネスホテルってすごく便利なの」山本綾音は言った。
そういうホテルは、料金も手頃で、繁華街にあることが多いから、食事も買い物も何でも便利だ。