第174章 コンプレックス

温井朝岚の瞳孔が急に縮んだ。「綾音?」

「私はあなたと一緒にいたくありません!」山本綾音は心を鬼にして言った!

「なぜだ?」彼は諦めきれない眼差しで彼女を見つめた。「君も僕のことが好きなはずだ。なぜ一緒にいたくないんだ?まさか...」

彼は言葉を詰まらせ、左脚の横に垂れた手が思わず左脚のズボンを握りしめた。珍しく自信なさげな声で、「まさか、君も僕の足が不自由なことを嫌っているのか?この障害のせいで、僕と一緒にいたくないのか?」

山本綾音は一瞬固まった。彼の足...実は彼女は一度も嫌悪したことはなかった。むしろ、彼の足が不自由なことで、より一層の憐れみと心痛を感じていた。

でも...今この瞬間、本当にこの感情を断ち切りたいのなら―

「そうよ、私はあなたの足が嫌なの!」山本綾音は言った。「私のパートナーには健康な体の人がいい。障害者じゃなくて。将来、彼氏と一緒に歩いているときに、人々の変な目で見られたくないの!」