仁藤心春は急に頭皮がゾクゾクした。
彼の笑顔は美しく、多くの女性を魅了するほどで、目尻や眉にも人を惑わせるような魅力が漂っていた。
しかし、そういう時こそ、より危険な兆候なのだった。
「私は...別に学びたくないわけじゃないんですけど、怪我してるから不便じゃないですか」と彼女は言った。
「怪我をしていても、まずは姿勢から学べる。力は必要ないし、怪我にも影響しない」と彼は言った。
仁藤心春はそれを聞いて、諦めたように「わかりました」と答えた。
誰が想像できただろう。末期血液がんなのに、格闘技を...えっ、学ばなければならないなんて!
でも考えてみれば、彼の親切な気持ちなのだろう。この頃、彼女は怪我が多すぎたのだから。
しかも、温井家の次男である彼が直々に教えてくれるなんて、塩浜市でこんな待遇を受けられる人は、そう多くないはずだ!