秋山瑛真は足元に落ちた携帯電話を見下ろした。
「秋...秋山会長」先ほどまで集まってビデオを見ていた社員たちは、身体を硬直させながら言った。携帯を落とした社員は前に進み出て、落とした自分の携帯を拾おうとした。
「待って!」秋山瑛真が突然叫んだ。
その社員は手が震え、秋山瑛真が自ら身を屈めて携帯を拾うのを見ていた。
しかし秋山瑛真は携帯を拾った後、すぐには相手に返さず、画面を見つめていた。
動画はループ再生されていたため、すぐに再び再生が始まった。動画は仁藤心春と温井卿介のKISS CAMの様子で、実際にはこの動画は30秒ほどのものだった!
しかし、この30秒の内容を秋山瑛真は数分間もじっと見続け、彼の表情は徐々に暗くなっていった。
自分たちのボスの暗い表情を見て、数人の社員は恐れおののいていた。そして携帯の持ち主である社員は、今になって後悔で胸が張り裂けそうだった。