食事が終わると、温井卿介は仁藤心春を連れて立ち上がった。
「綾音、あなたは……」仁藤心春は友人のことが心配だった。
「海辰、後で山本さんを送っていってくれ」温井卿介は渡辺海辰に命じた。
「はい」渡辺海辰は応答した。
大和田海誠と安藤遇真は温井卿介が去った後、慌てて二、三言の挨拶を交わしてから急いで逃げ出した。
一分でも長く居れば、それだけ危険が増すのだ!
渡辺海辰は山本綾音に向かって言った。「では山本さん、行きましょうか」
「私は自分でタクシーで帰りますから、送る必要はありません」山本綾音は言った。
「それは駄目です。これは若様の命令ですから、山本さんをお送りしないと私の責任放棄になってしまいます」渡辺海辰は言った。
山本綾音は仕方なく、渡辺海辰と一緒に出ようとした時、突然温井澄蓮に呼び止められた。