第229章 温井朝岚が怪我をする

山本お母さんは山本綾音のすぐ近くに立っており、先ほどの出来事を目撃していたことは明らかだった。

「お母さん」綾音は前に進み出て、「どうして...下りてきたの?」

「あなたがなかなか来ないから、見に来たのよ」山本お母さんは言いながら、警備員と口論している森山乃月の方をちらりと見た。「あの子も両親に何かあって、八つ当たりする場所がないのね...」

「分かってます」綾音は言った。「彼女とは争いませんが、好き勝手に侮辱されるのも許しません」

山本お母さんは娘を誇らしげに見つめた。「さっきの対応は素晴らしかったわ、綾音。本当に大人になったのね」

「お母さん、私もう28歳よ。まだ子供だと思ってるの?」綾音は言った。「先に上がりましょう」

山本お母さんは頷いた。

二人はエレベーターに乗り、山本お父さんの病室へ向かった。