山本お母さんは途方に暮れて娘の手をしっかりと握り、涙を流し続けていた。「どうしてこんなことに……どうしてこんなことに……」
綾音は自分を奮い立たせた。今、家族の中でお母さんが頼れる人は自分だけなのだから。
お父さんさえ生きていてくれれば、その後の賠償問題は自分が解決する。たとえスタジオを売り払っても、家を失っても、人さえ無事なら、他のことはすべてやり直せる!
こうして、綾音とお母さんは手術室の外で待ち続けた。山本お父さんの手術が最初に終わり、医師が出てきて、お父さんの火傷は体の20%に及び、濃い煙を吸い込んだため気道に損傷があったが、適時に気管切開手術を行ったため今は大丈夫だと告げた。ただし、肺に実質的な損傷があり、今後は持病として残るだろうとのことだった。
しかし、どうあれ命は助かった!