「どういうことなの?温井朝岚が朝食を届けさせてくれたの?」
「い...いいえ、私自分で買えますから」と彼女は言った。
「山本さん、もしお受け取りにならないと、温井理事長に申し訳が立ちません」と相手は困った表情で言った。
山本綾音は仕方なく、受け取ることにした。
病院に着くと、山本綾音は食事箱を開けた。中には精巧なお菓子がたくさん入っており、温かい豆乳もあった。
「この朝食はいいわね。でも、きっと安くないでしょう」と山本お母さんは言った。「今はお父さんが事故に遭って、家計が大変な時期なのよ。昨日温井さんが医療費を負担すると言ってくれたけど、私たちがそんなことをお願いできるわけないでしょう。向こうは私たちに借りがあるわけじゃないのだから。これからはお金を節約しないといけないわ。お父さんの治療費がこれからどれだけかかるかわからないのだから」