山本綾音は温井朝岚の顔を両手で包み込んで、「だから、そんなに怖がらなくていいの。私は簡単には彼氏を作らない人だから。だから、一度付き合うと決めたら、それは覚悟を決めたということ。あなたと一緒にいて、どんな苦難も乗り越える覚悟はできているの!」
彼女の真剣な口調に、彼の心もようやく少し和らいだ。
「君が僕を愛し続けて、僕から離れなければ、僕は何も怖くない」と温井朝岚は言った。「綾音、僕が欲しいのは、君だけだ」
山本綾音は顔を赤らめた。イケメンの男性が潤んだ目でこんな言葉を言われたら、どんな女性も耐えられないだろう。
「あの...ずっと立ってないで、座って。今、肩に怪我があるんだから、ちゃんと休まないと!」彼女は話題を変え、彼をベッドの端に連れて行き、横になって休ませた。
温井朝岚は素直に横になり、山本綾音は尋ねた。「そういえば、森山乃月があなたを刺した件って、一体どういうことなの?どうして私のせいだって言ったの?前回、彼女が私のところに来て騒ぎを起こして、ひどいことを言ってから、もう暫く会っていないのに。前回の衝突もそれほど深刻なものじゃなかったはずなのに、あなたを刺すほどのことじゃないでしょう」
温井朝岚は考え込むように言った。「君には関係ないんだ。彼らの家の保険金が下りた後、私が彼女の家の医療費の支払いを止めさせたからだ」彼は相手が綾音のところに騒ぎに行ったことを懲らしめるつもりだったが、まさか相手がこれほど衝動的な行動に出るとは思わなかった。
山本綾音はそれを聞いて、感慨深げな様子だった。森山乃月がこんなに衝動的な行動をするとは思わなかった。
だからこそ、升の恩は斗の仇となるという言葉があるのだ。
一度与えれば、相手は感謝するかもしれない。でも、ずっと与え続けて、突然止めてしまえば、かえって相手の恨みを買うことになる!
「森山乃月は今どうなっているの?」と山本綾音は尋ねた。
「警察に拘留されている。温井家は訴訟を起こす予定だ」と温井朝岚は答えた。
山本綾音は黙り込み、表情は暗く見えた。
「彼女を訴えてほしくないの?もし君が彼女を許してほしいなら...」